元々ブログでは、旅の記録とお得なマイル獲得の情報だけを書いていくつもりでしたが、キックスターターへ初参加したところ、ファウンディングから製品到着までの経緯が面白く、つい記事を重ねてしまいました。
また、Jelly以外にも既に3つのプロジェクトを体験することができました。
本記事は、私の経験したKickStarterプロジェクトの流れ、メリット・デメリットについて、バッカー(出資者)側の視点から整理をしてみたいと思います。
まず、キックスターターのプロジェクトは大きく分けて、3つのフェーズに分かれます。
目次
出資フェーズ(ファウンディング)
キックスターター上での資金集めのフェーズです。
私の確認した限りでゃ、20-60日位の期間が設定されているようです。
大きな資金が欲しいからといって、長い期間を設定するものでもなく、あまりに長い期間のファウンディングは成功率が下がるそうで、キックスターターでは30日以下を推奨しているようです。
ファウンディング期間中にプロジェクトに魅力を感じたバッカーは、プロジェクトに出資を決定します。
プロジェクトリサーチ
魅力的な参加するプロジェクトがあれば、バッカーが出資するというのが正常なプロジェクトかと思います。
しかしながら、バッカーの立場からすると、面白いプロジェクトがあれば参加したいという気持ちがあるので、新しいプロジェクトが始まっていないか、見落としているプロジェクトがないか常時確認していく必要があります。
例えば、私の場合、プロジェクトの開始は以下のような情報源から入手します。
- キックスターター上の新規プロジェクト
- メーリングリスト
- ツイッター
- 知人からの口コミ
しかし、情報が届いたプロジェクトが自分のお目当てかは、本人にしか分かりません。
お気に入りのプロジェクトのリサーチには常に気を配る必要あります。
アーリーバード特典
プロジェクトの早期に出資した場合、リワード(品物)を受け取れる金額が低額になることがあります。
これは、開発者側が初期の資金集めを容易にするために設定され、アーリーバード(Early Bard)などと記載されます。一般に通常のリワードに比べ10-20%程度割引されます。
その為、以下に早期にお気に入りのプロジェクトを見つけるのかが重要になります。
開発中の仕様変更・オプション
このファウンディングフェーズにおいて、開発オプションが変更になるプロジェクトもあります。
具体的には以下の2つケースがあります。
- ファウンディング金額に応じたオプション
ファウンディングの目標額とは別にこれくらい集まったら、このオプションも開発すると言ったものです。
例えば、Liberty+というブルーツゥースイヤホンのファウンディングでは、プロジェクト開発時点では、ブラックとホワイトの2種類を開発する予定でした。
しかし、ファウンディングが$2,000,000を超えた場合、新しいカラーバーションも開発するというストレッチなゴールも設定されていました。 - バッカー(出資者)のアイディアの取り入れ
出資が決まったバッカー(出資者)は、キックスターターのコミュニティ上で他のバッカーや出資者との意見交換が可能です。
例えば、とある旅行バックのプロジェクトにおいて、肩掛けのベルトも追加してほしいといった要望があったところ、開発者がそれに応じたという例もありました。
ファウンディング段階の開発者の柔軟な対応もあり得るところも、キックスターターの魅力かと思います。
ファウンディング末期の混乱
ファウンディングの末期(特に締切1時間前を切る位)には、出資を不安に思うバッカーが出てきて、騒ぎ始めることがあります。
その際、いさめる側のバッカーとのコメント合戦になり、急にコミュニティのスレッドが伸びてくるのも醍醐味です。
出資のキャンセル
ファウンディング期間中であれば、出資をキャンセルすることができます。
リワードの申し込み(出資)を実施していたも、まだ出資の引落は実施されません。
出資の引落は、プロジェクト終了後に実施される為、それまでにキャンセルすることはできます。
例えば、ファウンディング中の開発者の対応やコメントに不安になったら、キャンセルできます。
興味のあるプロジェクトのアーリーバードリワードを申し込んでおいて、プロジェクトの終了までじっくり考える余裕があるのもキックスターターの良い所かと思います。
開発フェーズ(デベロプメント)
ファウンディングが終了すると、開発が始まります。
開発が始まるといっても、すでに試作品がある状態から始まるケースが多く、一から新規設計するわけではありません。
すでにある試作品の量産化の試行・デバッグ、バッカー向けの中量生産、配達業者の手配などです。
配送先のヒアリング
開発フェースに入ると、すぐに、出資者の希望リワード(品物)のヒアリングが行われます。
ヒアリングで確認される主な内容は、以下のような内容です。
- リワード情報:製品の種類/カラー/個数/アクセサリ
- 配達先情報:名前/住所/電話番号/連絡メールアドレス
住所連絡を誤ると、開発者側から配達が遅れることがあるので、注意が必要です。
開発者のレスポンス悪化
開発フェーズでは、出資者からのメッセージが減ります。
開発者は、出資者へのアピールの必要がなくなるので、開発に専念し始めます。
出資フェーズでは愛想よくコメントしてくれた開発者のコメント数は、開発フェーズでは期待されません。
開発フェーズに入り数日すると、短気なバッカーが
“このプロジェクトはサギ(scam)”
とか騒ぎ始めます。
すると、大人なバッカーが
“ちょっと我慢(patient)しよう”
“リラックス(relax)して待とう”
などと言うやり取りが繰り返されます。
(私の参加した限りのプロジェクトでは、1プロジェクト内で何度か同じことが繰り返されてます)
口論はあまりよくないですが、私的には英語での悲嘆表現やスラングなどが勉強できて、とてもありがたい状況です。
仕様変更
稀に製品仕様の変更が発生します。
仕様変更といっても、幸い私の場合、製品の開発が止まるといったものは体験したことはありません。具体的には以下の2つのケースがありました。
- 製品仕様が全て実現できないケース
製品開発の段階で、製品実現が不可能になることがあります。
通常プロジェクトが開始している時点で、プロトタイプがありますが、量産上の問題で一部性能が実現できないケースがあります。
例えば、Liberty+というブルーツゥースイヤホンのファウンディングでは、カーボン素材のイヤホンをオプション選択できるようにしていたのですが、製造上の問題で困難があり、素材を通常のプラスックに戻しました。 - 国の法律で出荷できないケース
輸出入の法律の問題で購入できないケースがあります。
例えば、Jellyという小型スマホのプロジェクトでは、予備バッテリー単体での輸出が不可能な国が多々あり(日本を含む)、予備バッテリーのオプション選択を却下したということがありました。
キックスターターでプロジェクトを立ち上げる開発者は、小さな会社が多く、比較的量産や出荷のノウハウに欠けます。
プロトタイプを作成し、出資フェーズでは魅力的に映ります。
しかし、いざ量産・出荷となると、量産フェーズでの検討抜けや出荷時の各国の輸入法の検討抜けしてしまいます。
中小企業にそれを求めるのは酷かと思いますが、バッカーの視点からは気を付けておきたいところです。
(できれば、出資段階で開発者に注意・喚起するなど)
出荷フェーズ(シップメント)
開発フェーズが終わると、開発者からバッカー宛に出荷連絡が届きます。
開発者からの連絡
“これから出荷始める”という内容が届くのですが、すぐにリワードは届きません。
出荷を始めたというだけで、出資の早いバッカーのみを出荷し、出資の遅いバッカーのリワードが対象になっていないことがあります。
国際便の発送
国際郵便で到着するため長い日数を要します。
たとえ航空便の対応でも2週間ほどかかります。
例えば、アメリカのお財布のプロジェクトに参加した際の到着日数ですが、2週間程かかありました。
また、費用を抑える為、海外の安い出荷業者に荷物を集約した後配達されることもあります。
中国からのプロジェクトで一度シンガポールに送付されてから、航空便で到着したことがありました。(EMSの代理店があって、そこで出荷すると出荷費用を抑えることができるそうです)
開発元から直接航空便で到着するのであれば、最長2週間程度の配達日数です。
しかし、船便などの格安便の場合、1ヵ月程度を覚悟しなければいけません。
到着までの忍耐
キックスターター上のコミュニティでは、
“俺はまだ来てない”
“アメリカには届かないんじゃないか?”
“送付したフリで、サギじゃないか?”
などとのコメントが飛び交うようになります。
ファウンディングの末期と同じで、みな疑心暗鬼になり、暴言と諫める声が交差します。
ある程度の配達日数を想定して、気長に待つ気力が必要です。
その内、リワードの到着が進んでくると、騒ぎは収まり、バッカーはレビューに熱中し始めます。
リワード到着後あるある
便利そうと思ったが、手元に届くと意外と使えないことがあります。
私の場合、以下のようなケースがありました。
- 薄型財布を注文したら、ドル札の幅しかなく、円札だとはみ出て使えない
- 超小型スマホ注文したら、バッテリーの消費がが激しく使えない
便利だと思って飛びついたはいいものの、意外と使えないことは多いのだと思います。
(でなければ、大手の会社が既に製品化している)
まとめ
キックスターターでは、新たな発想をもった製品を世に出したいという熱気にあふれています。その情熱に貢献しつつ、これまでに見たこともない製品が手元に届くのであれば、とても意義のあることだと思います。
たとえ私が出資した製品が使い物にならなくても、開発者側がキックスターターでのフィードバックを元にさらなる良製品の開発に勤しんでくれると思います。
このような場を提供するキックスターターは、とても素晴らしいプラットフォームではないでしょうか。